こんにちは！アプンティートの高田総一郎です。

「オーダースーツって体型に合わせられること以外に良いことってあるの？」

先日、お客様よりこんなご質問をいただきました。そこで、仕立て屋の私から見たリアルなメリットとデメリット、そしてデメリットに対する当店の向き合い方をお伝えさせていただきたいと思います。

７つのメリット

⒈ 体型に合ったサイズで作ることができる

みなさんご存知のことだと思います。

肩に合わせると袖丈や着丈が長かったり、ヒップに合わせるとパンツのウエストが大きかったりと、既製品が身体に合わない方もたくさんいらっしゃいます。様々な体型の方がいるなか、身体に合わせジャストサイズでスーツを作ることができるという点がオーダースーツの最大のメリットです。ミリ単位の寸法指示ができるため、お客様それぞれのご要望にお応えすることができます。

身体に合ったジャストサイズスーツというのは見栄えも良いため、第一印象の印象度アップにも繋がります。既製品ではまず味わうことができないフィット感は、一度体験すると本当に癖になってしまうほど感動します。

⒉ 豊富なバリエーションの中から素材選びができる

既製品には素材のバリエーションがとても少ない、そんな不満を持たれている方もいらっしゃると思います。在庫リスクを持つため、販売しきれるどうかを考えざるを得ない既成スーツショップでは、なかなか変わった素材をセレクトすることができず、いつも似たようなベーシックなものを展開してしまう傾向があります。

オーダースーツであれば豊富なバリエーションの中からお客様のお好みの素材を選ぶことができます。無地、織り柄、ストライプ、チェック、カラーバリエーションなど、千種類以上の素材があり選びきれないほどですが、生地のセレクトは本当に楽しいひとときです。

様々な素材に挑戦してみることで、お客様の新たなイメージ作りのお手伝いにもなると思います。

⒊ お客様に合わせ、お好みの仕様に変更ができる

お好みの仕様をセレクトできることもオーダーの素晴らしい特徴の一つです。スーツ地に合わせ、裏地やボタンを選ぶこともできます。また、ラペルのデザインや幅、ボタンの数など、お客様に合わせ、様々な部分の仕様変更ができます。既製品を購入する際には考えもしなかったこともお客様にセレクトしていただくため、本当に楽しみながらオーダーをすることができます。

⒋ 仕上がりまでの時間を楽しむことができる

通常、仕上がりまで約１ヶ月の時間がかかりますが、ご自身でオーダーをされたこだわりの一着を楽しみに待つということも既製品では考えられないオーダーの醍醐味です。オーダーをされた方には、そのスーツを着てご自身が活躍される姿を想像しながら待たれることをお勧めいたします。もっともっとオーダーの良さを味わえると思います！

⒌ 自信、信頼感を仕事に活かせる

紳士服業界以外の方でも見ただけでスーツの良し悪しが分かるという方はたくさんいらっしゃいます。そんな方を相手にお仕事をされる場合、オーダースーツが力を発揮します！

お客様から、「スーツのおかげで話が膨らみ、仕事の話題に繋がった」ということを聞かせていただくことがあります。身体にあったオーダースーツを着て仕事をするということは、お相手からの印象も良く信頼感も生まれます。そして着ているだけで自信も生まれ、仕事にも必ず良い影響が出ると思います。

⒍ 既製品よりもコストパフォーマンスが高い

自分だけのこだわりの一着であれば、心理的に大切に扱うものではないでしょうか？私もオーダーで作った自分のスーツは、お手入れをしながら大切に扱っております。これは、過去に着ていた既製品にはなかった愛着です。きちんとお手入れをしながら大切に扱うことで、１年は長持ちさせることができます！

また、既製品の場合「胴廻りが少し大きい」「パンツが少し太い」などどこかを妥協して着られていることが多いと思います。オーダーであれば、素材、サイズ、デザインとご自身のお好みに仕上げているので満足をして着ていただくことができます。

妥協して購入した既製品が気に入らず何度も頻繁に買い替えるより、気に入って購入したオーダースーツをより長い間着ていただく方が、結果的には経済的かと思います。

⒎ 二着目からはもっと楽しい

二着目の場合、よほどの体型の変動がない限り、細かい採寸の必要がありません。生地を選ぶだけですので、短い時間でオーダーをすることが可能です。

よくあることなのですが、一着目を着ているうちに、「次つくるなら、こうしたい！」という思いを持たれるお客様が多く、リピートオーダーの際に本当に楽しそうにオーダーされます。こだわりの一着を作ったことで、よりスーツに興味を持たれ、どんどん好きになられる方が本当に多いです！

次にデメリットです。

５つのデメリット

⒈ 生地だけでは仕上がりのイメージが湧かない

今、この場に製品が無いということがオーダースーツ業界の最大のデメリットだと思います。慣れているお客様は生地だけでもある程度イメージができるようですが、そうでない方はイメージができず生地を選ぶこと自体が難しい場合もあります。加えて、生地だけではご自身のお好みを仕立て屋側に上手く伝えにくいということも挙げられます。

⒉ どんなスーツが仕上がるかが不安

”自分に合った満足のいくカッコいいスーツが仕上がってくるかどうか？”今、この場に製品がない故に最初の仕上がりまで待たないと分からないという点が挙げられます。また、店舗（採寸する人）によって仕上がりのサイズ感に差があるということもデメリットだと言えます。

⒊ 仕上がりまで時間がかかる

オーダー後、仕上がりまで約１ヶ月時間がかかるため、お急ぎでスーツが必要な方にはどうしても対応ができません。

⒋ やや敷居が高い

オーダースーツサロンは予約制である場合が多いため、既成スーツショップのように気軽に入店しにくい部分があるかもしれません。また、採寸に時間がかかることが面倒でどうしてもお手軽な既製品
を選んでしまうということもあるようです。

⒌ 価格差が気になる

オーダースーツサロンも様々ありますが、店舗によって価格が全く違う場合があります。「ゼニア特別価格79,800円！」と発表しているお店もあれば、「30万円」と発表しているお店もあり、なぜそれほど価格差があるのかが分からない、何が正しい価格なのか？という点もデメリットとして挙げられます。

最後にデメリットに対するアプンティートの向き合い方について書かせていただきます。

５つのデメリットに対する当店の向き合い方

⒈ 生地だけでは仕上がりのイメージが湧かない

こういった方たくさんいらっしゃいますよね？私は経験上、生地を見ただけでどんなスーツに仕上がるかイメージが湧くのですが、そのイメージをお客様に正確にお伝えすることは意外に難しかったりします。

アプンティートでは
当店では、たくさんのスナップ写真をご用意させていただいております。生地と見比べていただくことで、イメージが掴めるとお客様からも好評をいただいております。

ベージュの素材で作るとこんな感じに仕上がります！

⒉ どんなスーツが仕上がるかが不安

これも本当に気になることですよね？カッコいいスーツ、満足のいくスーツというのは、ほとんどの場合サイズ感が適切であるかどうかだと考えます。ただ、採寸までは誰がやっても同じなのですが、採寸した数値を基に、スーツの寸法をどのように決めるかは仕立て屋のセンス次第です。

アプンティートでは
カウンセリングを基にお客様のお好みを伺った上で、できるだけジャストサイズのスーツをご提案させていただいております。ジャケットの身幅、着丈、パンツの太さなど最適なバランスにしていくための当店独自の公式があります。お好みと公式を組み合わせることで、バランスの良い満足していただけるスーツが出来上がっていきます。

また、私高田のスタイルもとても大切だと考えております。初対面の方にも「デキる仕立て屋」と感じていただけるようサイズ感には注意して自分のスーツを仕立てております。

⒊ 仕上がりまで時間がかかる

お急ぎの方にはどうしても対応できませんが、メリット編で書かせていただいた通り、仕上がりまでの時間もオーダースーツの醍醐味だと言えます！当店を気に入っていただき定期的にオーダーいただくお客様には、ご注文の混み具合のご連絡や、新シーズンの素材のご案内など、仕上がり納期を逆算して対応させていただいております。

⒋ やや敷居が高い

予約制ですのでどうしても敷居が高いイメージがあるかもしれません。当店も完全予約制だということに加え、マンションの１３階で営んでいるためお気軽に入店できる雰囲気はないと言えます。しかし、ご来店いただいたお客様には、完全予約制、マンツーマン、プライベート空間というところを大変気に入っていただいております。やや敷居は高いものの、誰からも邪魔されず、ゆったりとくつろぎながらスーツをオーダーしていただけるという点が当店の売りの一つです。

⒌ 価格差が気になる

店舗によってオーダースーツの価格差があり過ぎて、どれが良いのか分からない、価格自体に信頼が置けないということがあります。

それに同じ素材を使っていても、例えば「ゼニア特別価格79,800円！」と広告しているお店もあれば、「ゼニア30万円～」のお店もあります。

なぜ同じブランドの素材を使ったオーダースーツにも関わらず、店舗によってそれほどの価格差があるのかと言いますと(ちなみにエルメネジルドゼニアの直営店でゼニアの素材を使ってオーダースーツを作ると40～60万円ほどします)、大きくは以下の3点の違いによって価格が変わってきます。

・生地

・仕立て(工場)

・型紙(シルエット)

生地

同じブランド素材での比較はさておき、まずは「高いオーダースーツと安いオーダースーツの違い」は、圧倒的に素材感が違うということです。

周りから見て一番分かりやすい点だと思います。ポリエステルとカシミアでは全く違うことが分かりますし、同じウールでも上質なモノとそうでないモノとでは手触りや見栄えも全く異なります。また、一流服地卸商が作る上質な素材は少ないロットで生産されていることが多く、その分価値と価格が上がっていることもあります。

もちろん、当店ではトップクラスの生地のみを取り扱っております。

そして、「同じブランドの生地なのに、お店によって価格が違うのはなぜ？」という疑問が生まれるかもしれません。

その一つの理由は、その生地自体がアウトレットものだったり、数年前の売れ残りだったりということです。

定番の生地でも今年ものなのか、5年前のものなのかで、保管状態にも依りますが、それ相当な劣化が否めないものが数多くあります。

当然安く仕入れることができます。

それ以外の理由は以下です。

仕立て

仕立てというのは、生地の裁断から縫製、プレス（アイロン）も含めたすべての工程のことを言います。また、見えない部分ではありますが、使用されている芯地やフエルトなどの種類も含みます。（スーツには仕立て栄えよく、補強するという意味で芯地という素材が内側に貼られています）

工程数が多ければ、当然時間と手間がかかります。そして、繊細な作業の基、上質な芯地などを使用することで、仕上がり栄え、着心地、スーツの寿命などが変わってきます。

つまり、仕立ての良し悪しがスーツの質に直結するということです。一流の工房では技術の高い職人が繊細で質の高い仕事をしています。

当店では、すべて一流の工房で仕立てさせていただいております。

型紙

「型紙」とは洋服を作る上での設計図のようなもので、この型紙に基づいて生地を裁断し、縫製していきます。「洋服は型紙が命！」と言っていいほど型紙は重要で、この設計図のクォリティが洋服のシルエットの良し悪しに直結します。

当店では、絶妙なシルエットを生み出す「型紙」にとことんこだわり、研究に研究を重ねております。それがたくさんのお客様に気に入っていただいたスーツの根幹になっています。美しいシルエットを追求した型紙を元に作り上げられたスーツは、他のオーダースーツ店では決して手に入らない、最高の満足感を味わっていただけると思います。

以上がオーダースーツ自体の価格差ですが、アプンティートではもう一つ誇りを持っていることがあります。

価格に乗らない付加価値

当店では、サロン内の空間作り、納品後の対応、着こなし術の発信、私個人の体験の提供、本場イタリアからのファッション情報の提供など、オーダーをいただくスーツの価値だけでなく、来ていただけたお客様にとにかくプラスになるようなサービスを次々と考えております。

個人的な考え方ですが、良い生地で、良い仕立てで、良い型紙でスーツを作ってさえいればお客様からどんどんスーツをオーダーしていただけるという発想ではまだまだ甘いと考えております。

お客様に気持ちよくスーツをオーダーいただき、カッコ良く着こなしていただくこと、そして、着こなしを通じてご提供できる価値が大切だと考えております。

私がスーツを通してお届けしたい価値とは、自信、信頼、洗練されたライフスタイル、ビジネスでの成功です！こんな価値をお届けできるよう、サービス面に関してももっと向上していきたいと考えております。

いかがでしたでしょうか？

オーダースーツのメリット、デメリット、デメリットに対する当店の向き合い方について書かせていただきました。メリットだけを訴求するのではなく、デメリットにもきちんと向き合うことが大切だと考えております。

アプンティートでは経営者専門というコンセプトを掲げさせていただいております。生地、仕立て、型紙、サービス、すべての面でこれからもお客様に誇れるようなサロンでありたいと考えております。

スーツは、ビジネスや結婚式など、かしこまったシーンに着る大切な装いです。オーダースーツであれば、その大切な装いに「ご自身のこだわり」「世界に一着だけ」という特別感を吹き込み、「自分だけの渾身の一着」に仕上げることが可能です！

そして渾身の一着を着ていただければ、ご自身の自己概念をさらに上げていただけます。それをお仕事に活かしていただけたなら仕立て屋としてこんなに嬉しいことはありません。

私は仕立て屋として、オーダースーツの素晴らしさをもっともっと拡めていきたいと考えております！

愛知県名古屋市東区葵　

経営者専門オーダースーツサロン Appuntito（アプンティート）

代表　高田総一郎